排卵誘発剤は妊娠確率を引き上げる

排卵誘発剤という名前を聞いたことはあるでしょうか。不妊治療において頻用されるタイプの薬です。排卵誘発剤に関してはイメージで知っているだけという方も多くいらっしゃるので、そもそもどういう時に使用するかやメリット、デメリットをまとめました。ご参考ください。

まずは排卵誘発剤の事を知ろう!
まずは排卵誘発剤の事を知ろう!

 

排卵障害の方が排卵誘発剤を使用で妊娠率は20~40%まで上昇

当たり前ですが、排卵がおきない事には自然妊娠は望めません。つまりその排卵がない、もしくはスムーズにいかない方が排卵誘発剤を使用することによって自然妊娠の妊娠率と同等の20~40%まで回復します。排卵率は排卵誘発剤の種類によって異なりますが70~80%です。

 

排卵誘発剤の種類は大きく分けて2種類

内服注射があり内服の方が副作用が少なく安全性が高いとされ、注射は直接的に卵巣に刺激を与え効果が高いですが副作用の起きる頻度も高くなります。一般的には最初は内服から始まり、それでも効果が出ないと注射に切り替えていくようです。

 

排卵誘発剤の主な副作用は多胎妊娠と卵巣過剰刺激症候群

排卵誘発剤の注目すべき副作用は「多胎妊娠」「卵巣過剰刺激症候群(OHSS)」です。
自然妊娠では1%未満という多胎妊娠、つまり双子や三つ子の可能性が飲み薬では5%、注射では20%ほどと大きく確率が上がります。
基本的に人は一人を妊娠するようにできている体の構造なので、多胎妊娠は母子ともに負荷が上がりリスクが高い妊娠と言えます。

また卵巣過剰刺激症候群(OHSS)は排卵誘発剤によって刺激された卵巣が腫れる副作用で、ひどければ胸水や腹水が溜まるような事態になることがあります。主には注射で起きることが多いですが、最近では重症化を防ぐよう細心の注意を払って経過を見ていく事が当たり前となって以前よりは重症化の頻度は下がってきているようです。

 

排卵誘発剤は不妊治療において主に3つの場面で使用される

排卵誘発剤が使用される場面により目的が変わってくるのでチェックしておきましょう!

排卵障害

無月経や無排卵や生理不順などでの排卵障害に使用するのが、排卵誘発剤です。その名の通りに排卵を誘発させるべく卵巣を刺激し卵胞を育て排卵を起こす作用があります。つまり排卵に問題がある排卵障害がある場合には、基本的に使用します。

タイミングや人工授精での妊娠確率のアップ

また排卵障害がない場合にも、より確実に排卵をおこすためホルモンのコンディションを整えるために使用します。つまりタイミング療法や人工授精に合わせて使用する事がスタンダードになっています。

体外受精や顕微授精の時の採卵数を増やすため

また高度生殖医療である体外受精や顕微授精においては、一度にたくさんの卵子を採卵したいと考えた場合に、より多くの卵胞を育てるために使用します。

 

排卵誘発剤の費用は保険がきく

排卵誘発剤に関しては、不妊専門クリニックでは内服も注射も保険が適応なので安心です。内服は例えばよく使われているクロミッド(クロミフェン)なら、自己負担は一か月500円ほどです。注射はそれよりもやや高めという形です。
薬の使用量が保険の適応をこえてしまった場合には保険適応外になる場合もあり得るのでご注意ください。

 

まとめ

排卵誘発剤は、私たちの不妊治療や妊娠確率を上げるのに役立ってくれますが、不妊治療の期間や回数が多くなると費用も重なってきますし、内服や注射での肉体的精神的なストレスも人によって気にしないといけないと思います。

排卵誘発剤がしっかり効いて質も伴うような体にしていくことも「妊娠しやすいカラダづくり」に一環と言えます。ぜひ排卵誘発剤や不妊治療と一緒に合わせて考えてみてはいかがでしょうか。

卵子も精子も自分のコンディション以上のものはできない

常々お伝えしているのが、精子も卵子も自分自身の分身。自分のコンディション以上のものはできないと考えると、色々な事を気にできるようになりますよね。不規則な生活やジャンクな食事では、それに見合った卵子や精子になるというぐらいまで考えてよいのではないでしょうか。妊娠しやすいカラダづくりで、質を整えると様々な現代医学もより有効に活用できますよ。