不妊原因で一番多いのは卵管のトラブルによるもの

女性不妊の原因のなかで一番頻度が多いのは卵管因子といわれ、子宮や卵管の問題により不妊症になる方の割合は35~40%とも言われております。

卵管性不妊は痛みなどの自覚症状もなく不妊検査でも分かりにくいので不妊治療を考える時にはアプローチの仕方を変えながら治療していきます(タイミング⇒人工授精⇒体外受精などのステップアップ)。ここでは卵管性不妊についてまとめています。

二人でしっかり学んでいこう!
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卵管の役割

卵管は片側約12cm、内径の直径が約1mmという非常に細い管状の器官です。そして卵管は卵巣と子宮を結びつける重要なパイプとしての役割を担っています。

  1. 卵巣から排卵された卵子をキャッチする
  2. 精子を卵子と出会わせるための受け入れ
  3. 卵管の先(卵管膨大部)にて受精の場を提供する
  4. 受精卵を発育させる
  5. 受精卵を着床させる子宮へ運ぶ

いかがでしょうか。単純に精子や受精卵が通る通り道という認識だけの方も多いのではないでしょうか。卵管は複雑な妊娠する流れの中で非常に重要なポジションを担当しているのです。 そしてこの卵管が狭くなってしまったり、詰まってしまったり、動きが悪くなってしまうと上記に書いたすべての事に支障が出てくるようになるのです。

 

卵管性不妊(卵管障害)の原因

卵管は細めのパスタくらいの太さなので簡単に狭くなっていたり、詰まってしまったり、動きが悪くなったりするようです。その原因としては以下の3つ

  • 感染による炎症
  • 子宮内膜症による癒着
  • 過去の手術による癒着

感染でもっとも多いのがクラミジア感染症

もっとも若年層に増えている性感染症で本人も全く自覚がなかったりします。なので感染が広がりやすい。卵管などに炎症を引き起こすことによって癒着がおきて卵管障害になる場合があります。

子宮内膜症や過去の手術の影響

子宮内膜症は不妊の方の20~30%にみられるということで不妊にとても関係が深いです。過去の腹部の手術による癒着(卵管や子宮、盲腸の手術など)も不妊に関係がある場合があります。
ただ子宮内膜症の重症度によっても卵管の動きが妨げられる度合いが違うというので不妊と深く関係あるかどうかは専門医の意見を聞いた方がいいでしょう。また過去の手術歴があったとしてもそれが不妊と関係があるのかどうかも専門医の意見を聞いてからになります。いずれにせよ必ず卵管に障害がでるわけではない点にご注意ください。

性感染症や子宮内膜症の増加に伴って卵管障害も増加!

なぜ卵管障害が多いかの理由は、やはり性感染症(特にクラミジア感染)や子宮内膜症などの婦人科疾患の増加によるものが大きいと思われます。特に子宮内膜症などは現在の女性の冷え体質アレルギー体質から引き起こされる可能性があり増えてきているという側面もあるようです。生理痛が強い人は特に要注意でしょう。

 

不妊治療での対処法は以下の4つ

  • 子宮卵管造影検査
  • 体外受精
  • 卵管鏡下卵管形成術(FT)
  • 腹腔鏡手術

子宮卵管造影検査

まずは子宮卵管造影検査で卵管が通っているか、子宮の形、お腹や卵管周囲に癒着がないかを調べていきます。この検査には治療効果もあり注入した造影剤が卵管を通るときに卵管を広げる作用があり軽い詰まりや癒着の影響を取り除いてくれます。

体外受精

女性不妊は男性不妊と比べて複雑な事が多く検査ではわからない不明な事も多いですが、卵管のトラブルによるものが多いと言われているので不妊専門のクリニックでは体外受精という卵管を経由しない不妊治療を行う事が治療の流れとしてあります。タイミングや人工授精では何回挑戦しても妊娠しなかったものが、たった一回の体外受精で妊娠に至ったというような事はよく聞く話です。

卵管鏡下卵管形成術(FT)

膣より卵管のなかに細い内視鏡を入れて風船(バルーン)を膨らませて詰まっている所を広げる方法で子宮と卵管の接合部付近に有効です。卵管采に近い遠位部分は腹腔鏡にて観察します。

腹腔鏡手術

お腹に小さい穴をあけて細いスコープを通して卵巣や卵管の状態を検査しながら、卵管采という卵管の開口部(卵巣から排卵された卵子をキャッチする場所)が子宮内膜症などにより癒着している場合があります。
その癒着を剥離していく方法ですので、上記の卵管鏡下卵管形成術(FT)と同時に手術も行われる場合もあります。
子宮卵管造影検査ではわからなかった癒着も腹腔鏡でみるとわかったりします。卵管が通っていても動きが悪く卵管采が卵子をキャッチできないキャッチアップ障害も原因不明不妊には非常に多いと言われています。

卵管をそもそも通さない体外受精も有効ですが、自然妊娠を希望する場合には腹腔鏡やFTは体のダメージも少なくてすむので子宮内膜症や原因不明不妊の方には大変有効といえます。

 

漢方治療は予防に治療に大活躍

子宮内膜症をはじめ様々な生理にまつわる「痛み」に関してはほおっておく事は非常に将来的なリスクとなります。痛み止めを使うことは治しているわけではないので症状の悪化を招き重症化を招く可能性もあります。
クラミジアなどの感染症を除けば不妊治療の一環で外科的な処置で卵管の詰まりや癒着をとったとしても詰まりや癒着がおきた環境が変わったわけではないのでまたできる可能性もあります。
その病気や障害ができる環境自体を変えていけるのが漢方の良い所です。例えば生理痛で冷えを伴った痛みであれば、温めながら血流を良くしていくといったように体質や症状に応じてその病気や症状がでない様な体の状態に変えていきましょう。

 

まとめ

今ある不妊検査は万能ではありません。現在カップルを不妊検査で調べても判明する不妊理由は50%と言われています。半分はハッキリとはわからないのです。
ただ不妊原因として卵管のトラブルが一番多いのは間違いない事実だと言われています。しっかり妊娠を見据えて準備する時にまず卵管障害を防ぎ元気な卵管でいるために性感染症予防や生理痛があればその解消に努めましょう。
痛みを鎮痛剤でごまかさないようにしましょう。漢方が有効です。検査や治療も遅らせないように知っておきましょう。

痛みがあるのが当たり前と思わず生理痛があればまず良くしましょう!

まず自分の体やリスクに興味を持っていきましょう。性感染症に関する知識や生理痛にどんなリスクがあるのかも。生理痛や排卵痛、生理不順などホルモンバランスや子宮や卵巣、卵管周囲の血流の乱れから発生するものに関しては漢方薬がお勧めです。病院の治療と共に併用できることもメリットでしょう。ぜひカウンセリングを受けてみてくださいね。