高齢出産で出生前診断(羊水検査)を受けるか迷った時の考え方について

出生前診断とは妊娠中に胎児の状態を検査して診断する事です。高齢出産において染色体異常の可能性が上がるため心配から、調べたいと考える方もいらっしゃるかもしれません。出生前診断の中でも羊水検査は「確定診断」として用いられる検査です。その流れと考え方についてまとめました。

どう考えたらいいかの指標はあったほうがいいかも

 

出生前診断の種類は現在5種類

出生前診断は以下の種類があります。

超音波診断

胎児の画像検査での状態で胎児の異常が確認される場合があります。ただ、超音波検査はごく一般的に行われる検査のために医療側にも検査を受ける側にも、出生前診断という意識は少ないでしょう。またある程度胎児が成長して初めて確認できるために、通常は妊娠の中期以降になって診断が確実になります。

 

母体血清マーカー検査(費用はおよそ1~2万円)

母体血液からの胎児診断としてダウン症の確率を知るためのものです。あくまで「確率」なので確実な診断のためには羊水検査が必要です。

 

絨毛検査(費用およそ10~20万円)

妊娠10~14週に採取することが一般的な検査です。調べられる内容が羊水検査と重なる事と、羊水検査よりも流産の確率が高いとされており、羊水検査が行われる時期よりも早く診断したいという希望がなければあまり選択されることがありません

 

羊水検査(費用およそ12~15万円)

確定診断として使われることが多い羊水検査ですが、羊水を調べることで赤ちゃんの染色体異常、一部の遺伝性疾患(主としてダウン症候群18トリソミーなど)の診断ができます。おへその下あたりに針を刺して羊水を採取します。針を刺すこと自体痛みはほとんどないとされていますが、検査後の出血や感染に注意を配る必要があります(抗生剤などが処方されます)。

 

新型出生前診断(NIPT)(費用はおよそ20万円)

胎児が母体内で健全に成長しているかどうか、その妊娠経過を確認するために開発されました。NIPT(新型出生前診断)の結果陽性、となった場合、胎児が「13トリソミー」「18トリソミー」「21トリソミー」(いわゆるダウン症)の可能性を妊娠前に知る為の検査です。母体から採取した20ccほどの血液を採取するだけで済み、診断精度も80~90%前後の確率で胎児の先天性異常を予見することができ、陰性的中率は驚異の99.9%という数値だと言われています。つまり出生前診断で陰性と判定されれば、ほぼ確実にダウン症の可能性はないと言えます
現在は母体血清マーカー検査新型出生前診断(NIPT)を行って陽性反応が出た方に羊水検査で確定診断を行うという流れが一般的なようです。

 

羊水検査のメリット・デメリットについて

メリットは「確定診断」

2013年に新型出生前診断(NIPT)が日本で正式に認可され、13トリソミー、18トリソミー、ダウン症候群の可能性を高い精度で予見はできるようになりましたが、それ以外の先天性疾患を調べるためにも羊水検査をして確定診断をする必要があります。また確定診断とはいえ、結果は「100%正しい」とはいえないという事も理解しておかなければいけません。

デメリットはリスクとして流産の可能性がある

その際に0.3%ほどの流産の可能性があります。また羊水検査をしても診断ができないという可能性が1.5%ほどあります(羊水の中の胎児の細胞が増えないと診断できないため)。高齢出産での妊娠は流産のリスクを通常高い傾向にある分、検査だけで流産のリスクは「検査をしない」という判断をする方の理由になるようです。

検査するなら検査結果が陽性となった場合どうするか事前に夫婦で決めておくこと

出生前診断や羊水検査を高齢出産でリスクがある場合に、した方がいいかどうか相談を受けることがあります。そういう場合に検査する前に、事前に陽性だった場合にどうするかは決めておくことも一つの考え方です。
例えば陽性であれ陰性であれ産むという結果を選択するなら出生前診断自体必要ありません検査を受ける費用やストレスがかかるなどのデメリットしかないのではないでしょうか。反対に検査を受けるという方は検査結果が陽性だった場合、中絶すると決めている方という事です。

なんとなく不安だから検査を受けるといった類の検査でない事は確かだと思います。夫婦での話し合いでのご参考になればと思います。

 

まとめ

現在の出生前診断や確定診断である羊水検査を受けるかどうかを考えるにあたっての問題点は、例えばダウン症であれば「ダウン症の子供を産むことを選ぶ、選ばないの基準がない」「ダウン症の子供をを産んだ場合の将来どうなるかの情報が足りない」などが言われています。ただ、当店では「流産のリスク」や「どういう結果であれ中絶という選択肢はない」という方であれば検査を受ける必要はないと私自身は考えています。

ただ様々な事情によりリスクが特に高い場合(例えば一人目が先天性異常があり、二人目が心配など)に関しては検査をされる方もいらっしゃいます。どういう事が正解という事はありません。

ただ検査について誤解などがないように考え方を整理しておくために、パートナーとはもちろん専門のカウンセラーとよく相談する事が必要だと思います。

 

今後も出生前診断の進歩は進んでいく

今後も高齢出産は多くなると想像でき。それに伴って羊水検査を含めこの出生前診断の技術は進んでいくでしょう。そして出生前の「診断」の次は出生前の「治療」というステップへつながる可能性もどんどんでてくると想像できます。倫理的な問題も多くあるでしょうが、当事者の切なる願いの中で出生前に先天的な疾患が見つかった場合治療に進める可能性もでてくるという側面は重要な事だと考えています。 過去ブログも参考にしてください⇒高齢出産のメリットも知っておこう